未遂

今日、実家に一本の電話がかかってきました。
母親が出ると、息子(私の弟)の名前を言い、


「お宅の息子さんが電車で痴漢行為をはたらいたのでT駅のどこそこにしょっぴきました」


みたいな事を言われ。
息子さん本人は興奮状態でとても電話口には出せません、とのこと。


痴漢はこちらも、やはり、「万が一もしかして…」と思わずにいられないネタではあるし、
悲しいかな女性の方からお金目当てに、無実の男性相手に嘘を騒ぎ立てるという、同性として噴飯ものの事例もあるわけなので、
母も簡単に一笑に付すわけにはいかなかった模様。


「ではこれから主人と一緒にすぐ伺います」
「いえ、被害者の方はご主人もいらして大変憤っていて、ご両親が来たりしたら火に油を注ぐことになりますから」
「いいえ、今後の 裁 判 等のためにも、今からすぐ弁護士を伴って伺わせていただきます」


母が激高しながらそう言ったら電話は切れたそうです。


息子や夫がそんな犯罪を犯して、これから裁判沙汰になったりしたら、その経歴や社会的地位に傷が付く、この先の人生真っ暗になってしまう、
そういうのを何とか避けられないかという、家族の必死の思いに、
「そこを示談で、お金で解決しましょう。」
とつけ込む。そして藁をも縋る心境にさせる。


はずだったのに、いきなり裁判やる気満々の母親が登場ですよ。
電話の向こうの方は、さぞ面食らったことでしょう。


で、私や父は、母親が途中でこれはウソだと気付いて、そんなふうに対処したんだろうと思って、おーすばらしいとか思ってたんですが、母はまるきり本気でした。
ああコレが巷でうわさの、と腑に落ちたのは随分時間が経ってからだったらしく。


みなさんもどうぞ、他人事と思わずに、巧妙な振り込み詐欺には気をつけて下さい。
しかし今回、金を振り込めと相手に言われる段階まで話が進まなかったからなあ。
厳密に言えば、これで振り込め詐欺の電話扱いしたら、冤罪になっちゃうかしら。