帰還

玉三郎の『鷺娘』 う、う、美しかったーーー!

『野田版 研辰の討たれ』 すんばらしく面白かったーーーー!!
前回見られなかったので、今回見られて本当に良かったです。か、歌舞伎座コクーンになってる…。
色々大笑いしたこと書きたいんですが、ネタバレになるので自粛…。うー、し、七之助ーー!
そして勘三郎が小粋に獅童を祝福していました。客席もみんな拍手。


役者の方が客席に結構いました。デヴィ夫人もいましたよー。菊五郎が出てたので入口に富司純子がいて、もう、美しさが桁違いでした。着物姿に感動。今度、また、『おもちゃ』を見ようっと。


実は今日、歌舞伎の前に、中村吉右衛門さまの個展を見に行きました。


『中村吉右衛門、趣味のスケッチ展』


のんびり行ったら吉右衛門さま御本人と奥さまが会場にいらして、
死ぬかと思いました。
ひいいいい。


吉右衛門さまは奥の部屋で、真剣に菖蒲の花(たぶん)をスケッチしていらっしゃいました。眼鏡をかけてらして。背がお高くて、意外に細身で。お召し物も素敵で。


ああああああああああだめだもうだめだ思い出すとだめだああああああ


すごく静かな画廊で、この体から滝のような汗の流れる音が、辺りに聞こえてしまいそうでした。ぶるぶる。玉三郎寄贈の菖蒲が飾られていて、これまた見事で溜息。


その後入った喫茶店で、現実に戻りきれず、高いパフェなのにじっくり味わいもせずもりもり食べていた私に、母が女の顔をして言いました。


「当時まだ高校生の小娘だった私を、『男の色気』で全身総毛立たせたのが、若かりし日の吉右衛門だったのよ。忘れもしないわ、ドラマの、ちらと二階を見上げるだけの演技でよ。
吉右衛門の結婚のとき、あんなに悔しい思いをしたのは生涯でただ一度だわねえ。奥様のお写真を見てね、『ああ、この人は吉右衛門に選ばれたんだ』と思ったら、自分とはこんなにかけ離れた存在だっていうのに、何でか、女としてもう悔しくて悔しくて悔しくてね。当時の雑誌の写真とか、まだ完璧に覚えてるわよ」


母のDNAは、余すところなく私に受け継がれているようです。
女として悔しいとかいう意味とか、なんかすごく、わかる…。